あの人に聞く!日本を創り継ぐとは vol.1 (後編)

前回に引き続き、社会人インタビュー後編です。

日本を創り継ぐプロジェクトの初代共同代表であり、立ち上げから携わっていらっしゃる櫻井亮さんにお話を伺いしました。

 

▶ 前編はこちら!

あの人に聞く!日本を創り継ぐとは vol.1(前編) - 日本を創り継ぐプロジェクト

 

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-今の日本の若者は、櫻井さんの目にどのように映っているのでしょうか?

 

 私は、若者は結構熱いと思っていますよ。だからこそ私は皆さんに投資しています。第1回目のつくつぐの最後に、参加者の皆さんの後ろに何十人、何百人という人が見えて、続いていくのが見えたんですよ。これは震災後まもない日本における希望だと思いました。若者に対して何か投資をしていかないとまずい、この先この若者たちが続いていかないのは日本における損失だ、と思ったんです。

 

 でも、同時に、一目見て熱いな〜って思う若者もあまり見かけないなぁと感じました。なぜかというと、みんな熱さを前面には出さないんですよね。幸いなことに私はその事実に気づいてるんですよ。実はそれらの熱さはラップにくるまれていて、本当はものすごく燃えてるんだけど、外側にその熱さが出てきていない、という。多くの人たちが、今の若者は全然元気がない、とか覇気がない、とか言うけど、そんなことはないですよ。表現できていないから想いが届かないだけで、持っているものはすごく熱いです。あとはそれらの表現の仕方ですね。そこはお手伝いできるのかなって思っています。

 

-熱さが表に出てこないのはなぜなのでしょうか?

 

 周りが許容してないですからねぇ。その観点に立つと、やはり学校教育の存在は大きいですね。みんなが違ってもOKだというルールではありません。今まだ若者に希望があるのは、複数のコミュニティーを渡り歩ける状況が始まっているからです。自分の好きな漫画のサークルとか、好きなスポーツとか。地域も学校もある。その場に行けばつながるだけじゃなくて、それらの活動をネットで維持できます。しかし、中学生・高校生において、学校生活がすべてで部活も授業も趣味も全部同じコミュニティーだと、監視社会に近いですね、余計なことしたときに全部評判がついて回ると思うと、そんなに簡単にリスクを取れない状態ですし、そもそもリスクがない状態を作ろうとしてしまいがちです。

 

 学校教育はそのままでもいいと思いますが、第3の、別のコミュニティーがあってもいいと思っています。それは放課後でもいい、何か単発のイベントからスタートしてもいいんです。日常にはしがらみがあって苦しいですし、全部がその世界だと思った瞬間に絶望しかないと思っても、ある瞬間、部分的に逃れられるコミュニティーや空間があれば、そこで違う顔、違う役割で生きることができます。それだけで時には救いになると思うのです。そういうものができるだけ多くあるといいなと思います。

 

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-櫻井さんが人生において大切にされている“想い”はありますか?

 

 まず、だれかの「もやもや」を解決したいというのがひとつです。あとはワクワクにしたがって生きることですね。迷ったらわくわくしたほうに進んでいくことをお勧めします。

 人生にとって本当に大事なものというのは先に進んでみないとわからないと思うのですね。成長すればするほど、その表現や深さが変わってゆきます。しかしながら、今見えている限られた景色の中でも、一生懸命その景色を見てほしいのですね。その景色が自分の見たい景色と違うかどうかが進んでみて初めてわかります。見ていないと、目の前にある景色をただの景色だと思って受け入れてしまって、流されていきます。自分が見たい景色、この先にあるかもしれない景色を想像して社会に入ってほしいのです。そうすると、いろんな挫折、制限、圧力があって景色そのものが見えなくなってしまったり、見ている景色が違ってきたりします。じゃあどっちの方向を見たら見たい景色は見ることができるのか、自分が見たい景色は本当にこれだったのか、と考えるはずです。その考える行為そのものが、流されずに一歩一歩進んでいく指針になってゆくのですね。

 

-櫻井さん自身の今後の夢・目標はありますか?

 

 経済的にも社会的にも知識的にも、あらゆる領域においてもう一段レベルを上げたいと思っています。たとえば、今後自分の稼ぎが今より大きく増えてゆけば、その分チャレンジしている人たちにより還元できる。そのために今よりもっとお金を稼ぎたいと思っています。あとは、名誉や地位を得ることで届けられる人が増えるなら、それも悪いことじゃないと思っています。だから、自分の影響力を大きくしていくことで、より多くの人の心に火をつけて、やる気になった人たちをサポートできるような、そういう人物になっていきたいなって思います。

 

-最後に、若者へのメッセージをお願いします。

 

 若者はエゴイスティックに生きていいと思うのですね。10代・20代の特権ですから。自分の持っているエゴにしっかり向き合った上で相手のことも考える。どうしたら痛いか、嫌われるかちゃんとわかった上で大きなエゴに向かっていってほしいんです。エゴを隠したまま表面上だけきれいにしていくと簡単に破綻します。もっともっといい意味でアグレッシブに、エゴイスティックに生きてほしい。もっと傍若無人に、若さを武器にはみ出していってほしいですね。「社会のため」っていうすばらしい想いをもっていてもいいですが、同時に自分のエゴもちゃんと持っていてほしいのです。

 

 大学生にはいろんなことにチャレンジしていってほしいな、と感じます。サークルでも学生団体でも起業でも。若いときの経験はかけがえのない財産だと思うんですよ。その時をどう過ごすかはとっても大きい。30代、40代になっていくと、“チャレンジ”に全力で向き合える時間や環境は限られてきます。日本を創り継ぐプロジェクトは若者がチャレンジできる絶好の環境だと思います。

ぜひ、自分のやりたいことに正直に想いを出してチャレンジをしてほしいです。

 

-第5回日本を創り継ぐプロジェクト開催まで後3日。

メッセージにもあったように、”チャレンジに全力で向き合える場”を参加者の皆さんとともに創ります。

櫻井さん、ありがとうございました!

 

 

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櫻井亮(さくらい・りょう)

GOB Incubation Partners 株式会社 Co-founder兼発火マジシャン

日本ヒューレッド・パッカード経て、2007年よりNTTデータ経営研究所にてマネージャー兼デザイン・コンサルティングチームチームリーダーを務める。2009年、野村総合研究所との共同プロジェクトにおいて、両社トップ直下で行う特別チーム「ITと新社会デザインフォーラム」に深く関与。このプロジェクトを発端に、2011年8月に「日本を創り継ぐプロジェクト」を発足させ、現在もアドバイザーとして当該プロジェクトの推進役をおこなっている。2013年に北欧系ストラテジックデザインファームDesignitの日本オフィスを立ち上げ、日本法人代表取締役に就任。その後、GOB Incubation Partners 株式会社を創立し、Co-founder兼発火マジシャンとして新規ビジョン策定・情報戦略の企画コーディネート、ワークショップのファシリテーション、デザイン思考アプローチによるイノベーションワーク、学生起業家や社内起業家の育成などを手掛けている。 著作に、『ITプロフェッショナルは社会価値イノベーションを巻き起こせ』(プロジェクトにて執筆)、『RFPでシステム構築を成功に導く本― ITベンダーの賢い 選び方見切り方』(広川敬祐 編著,櫻井亮,服部克彦,松尾重義 著)などがある。